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石川銀行破綻の爪痕9
9.紆余曲折
平成21年10月下旬、再び銀行訪問をスタートした。
前向きに検討してくれる姿勢が見られた銀行に保証がつかなかった事情を説明し、何とかプロパーで融資を検討してくれるように頭を下げた。
プロパーで融資をしてもらうには、次のような数々の高いハードルがあった。
(1)個人への貸付
SPCからの借入金は、代表者個人宛のものであったので、銀行は個人の借金の肩代わり資金を貸すことになってしまう。初対面の還暦を迎えた一個人に、数千万円の貸付を、しかもプロパーで貸す銀行は、普通は無い。
(2)不動産の名義
銭湯の経営は法人にて行っていたが、担保となる不動産は代表者の個人所有であった。個人への貸付が馴染まないとして法人に貸し付けようとしても、法人の決算書には担保となるべき不動産が計上されておらず、他に目ぼしい資産もない。そんな法人に対して数千万円の融資をすることは無理があった。
さりとて個人名義の不動産を法人名義にしてしまうと、税金や諸経費で、10百万円程度の費用がかかることが判明した。数千万円の借入をするために10百万円もの経費をかけるのは、どう考えてもナンセンスである。
(3)劣後債務
劣後債務の4億円が残っている限り、決算書は大幅な債務超過のままであった。保証協会の保証がつくなら、こちらの説明や弁護士の「請求されないでしょう」という意見書でも通ったものの、プロパー融資でリスクが100%となれば話は別である。
(4)木村剛の逮捕
平成21年の途中から、木村剛がSPCの役員を退任した。
その後SPCの事業は、木村の悪影響を回避するべく他の役員が設立した新会社によって運営されていた。従い、木村剛が逮捕されたことと融資検討当時のSPCには直接の関係は無いはずである。しかしながら、金融機関はそう簡単ではない。風評を気にするためか、無関係であることを再三再四説明することになった。
(5)公的資金
融資を前向きに検討してくれていた銀行に公的資金が入ることになった。国の管理下に置かれた訳で、従前なら自分たちだけの審査で融資が出来たところ、その判断が一段高い機関に委ねられることになった。
・・・・・・・・・・・・・ No.26
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