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石川銀行破綻の爪痕5
5.現状分析
(1)債務の増加
KPMGフィナンシャル(以下、SPC)は、整理回収機構から10社120億円程度の債権をいくらかで買い取り、そこに利益を乗せてM社長他10社に請求しているようであった。
M社長の銭湯の債務は元々5億円だったのであるが、SPCのスキームでは、10社が互いに連帯保証をする契約になっていた。
即ち、M社長の銭湯の債務5億円がいつの間にか10社分(約20億円)に膨れ上がっていたのである。
ところがM社長は、全くこの事に気付かずに数々の契約書に押印をしており、私が解説をして初めて「そうだったのですか」と驚いていた。
(2)債務の圧縮
M社長の借金は元々5億円であった。SPCは、この債務を時価に引き直した。
即ち、実際に回収出来そうな金額1億円(優先債務)と残額4億円(劣後債務)に分け、優先債務を当初の10年間で返済させて、残りを11年目から5年で返済させるというスキームであった。
残額の4億円を放棄してしまうと債務免除益や贈与の問題が発生するので、契約書上は劣後債務もキッチリと残してあった。
劣後債務を回収する意思が無いことは、
① 優先債務を完済すれば銭湯に設定した抵当権を解除すること、
② 劣後債務を請求したのでは「圧縮スキーム」が無意味になること、
から明らかであった。
しかし、SPCが劣後債務を残したことで我々は、後々大変な苦労をすることになる。
・・・・・・・・・・・・・ No.20
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