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台湾での不正調査13
おおかたの調査が終了した。
8月19日に成田を発ってから、4週間が過ぎていた。
監査法人のMパートナーを通して東京本社に一部始終を報告した。
報告の2日後、東京本社からT社長の上司がやって来た。
T社長は、その翌日、上司と一緒に台湾を後にした。
会社を出る前に彼は社員に挨拶をしていた。
幹部社員の二人がエレベーターまで見送りに出てきた。
涙をためているT社長を見て一瞬気の毒になったが、仕方が無い。彼の自業自得だ。
少々重い気持ちを引きずりながら、民生東路にあるホテルに戻った。
このホテルにも本当にお世話になった。
部屋で荷造りをしていると電話が鳴った。
台湾販社の経理部長からだ。なんと、慰労会をしてくれると言う。
シャワーを浴びてホテルの前からタクシーを拾う。
1か月も居るので、日常の会話は何とか出来るようになった。
指定された杭州南路の海鮮料理店に行くと、社員全員が待っていてくれた。
あのW課長もにこにこ顔で座っている。
これには思わず苦笑してしまった。何ともおおらかな国だ。
ビールで乾杯をした後は、紹興酒、高粱酒と続いた。
丸テーブル二つに座った17名の社員全員と乾杯して廻る。
3周廻ったところまでは記憶がはっきりしているが、それ以降は少々心もとない。
翌朝チェックアウトをしていると、社員がロビーに勢揃いしている。半数はいる。
聞けば空港まで見送ってくれると言う。
一緒にバスに乗った。
40分で空港に到着した。
出境と書かれたゲートの手前でお別れだ。
一人ひとりと握手をした。
次は遊びで台湾に来いと口々に言われた。
〝我一定再来台湾〟(また必ず台湾に来ます)と言おうとするのだが、涙で声にならない。
何度も握手をして、何度も振り返りながら、後ろ髪を引かれる思いでゲートをくぐった。
後日談であるが、T社長は福島県の工場に異動となり、その後ほどなくして自主退職したそうである。
また、台湾販社はL社長を詐欺破産罪で訴えることになった。
L社長はすぐさま中国に逃亡し、約1年後に、台湾の管轄裁判所宛に〝死亡届〟が中国から届き、裁判は被告人死亡により終結したそうである。
・・・・・・・・・・・・・ No.14
最後までお読み頂きありがとうございます。
次回もよろしくお願い致します。
【登場する名称・地名・日時等はフィクションとさせて頂きますが、起こった現象は出来るだけ事実に基づいてお伝えしています。】
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